お聞きなさい 
私たちは 広大な宇宙のなかに
存在します
宇宙では
形という固定したものはありません
実体がないのです
宇宙は粒子に満ちています
粒子は自由に動き回って 形を変えて
お互いの関係の
安定したところで静止します

お聞きなさい
形のあるもの
いいかえれば物質的存在を
私たちは現象としてとらえているのですが
現象というものは
時事刻々変化するものであって
変化しない実体というものはありません
実体がないからこそ 形をつくれるのです
実体がなくて 変化するからこそ
物質であることができるのです

お聞きなさい
あなたも 宇宙のなかで
粒子でできています
宇宙のなかの
ほかの粒子と一つづきです
ですから宇宙も「空」です
あなたという実体はないのです
あなたと宇宙は一つです

宇宙は一つづきですから
生じたということもなく
なくなるということもありません
きれいだとか 汚いだとかということもありません
増すこともなく 減ることもありません
「空」にはそのような
取るに足りないことはないのです

p6〜11

見開きの2ページで全文を終えてしまうような短いスートラである『般若心経』は、空について書かれている、ユニークなお経です。現代語訳は、色々な解釈が出来るそうですが、この本は生命科学者である柳澤桂子さんによるもの。

画集のような作りで、日本画家で、独自路線を追求している孤高のアーティストである堀文子さんの絵、モノトーンの世界に引き込まれそうになりながら、真っ黒い紙面に白地で描かれた般若心経の訳文に、語りかけられるよう。柳澤先生は歌人でもあるそうです。

私自身、この本をいつ頃手にしたのだろうかと裏表紙を見てみると、2004年初版、2006年版を購入しているよう。恐らく、現在につづくショップやヒーラーの仕事を始めて間もない頃だったのだろうと思います。

ニューエイジ的な世界観を補う為に、スピリチュアル分野の本を読みつつ、シュタイナーなどもかじり始めたその頃。書店の天使に勧められたのでしょうか。

『生きて死ぬ智慧』というタイトルは、般若心経の「すべては空である」「あることは、無いこと」「物質であるということは、何も無いこと」という教えを、端的に表現したものなのだろうと思います。

学者でありながら歌人、そして30歳から難病と闘い続けているという、著者。

画壇に背を向け独自の道を拓いた孤高の日本画家。

二人の女性のプロフィールが、また強く響いてくる一冊です。

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